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#75

2011.9.5- 9.18
石垣裕 Ishigaki hiroshi

燃える森
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6×7判 モノクロ 11×14in. 25枚
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光や人々に誘われ、偶然に委ね、現われては消える街の顔、去りゆくもの、往来のなかで、私はただ見ているばかりだ。道端の翳り、すぐに忘れてしまう子供の仕草、触れることを許されていない女の顔。見ることのなかには絶えず言葉になっていないものが残されている。

撮影の為に街を歩くのは常に一人で、どこか孤独なものだが、だからこそ感覚や情動を生かし、見ることに形を与える行為に身体を賭けることが出来るのだろう。

そうして得られたものが何であるか、何を見出だすことが出来るのかを探るのは、もちろん自分自身の務めだが、写真展の準備や写真集の制作等で、他人のまなざしに気付かされることは多く、この事は実際に発表してからも続いていく訳で、写真を撮って発表する、という行為が、いわゆる「表現」や「記録」にとどまらず、「見ること」の共有や解体といった経験となって、日常のなかに拡がってゆくのかもしれないと思う。

写真は断片でしかなく、確かな達成もないまま撮り続けるしかないのだろう。私にしても街にしても、変わらず在り続けることなどないのだろうし、偶然を力にただ歩くだけだ。

 

石垣裕

 

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