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2015.6.2 - 6.14 桃園川緑道 4×5in. モノクロ
1994年に読んだ太宰治の小説『東京八景』を起点に、コンパクトカメラ片手に東京中を徘徊しながら「私の東京八景」を探すほんの囁かな作業を1999年まで続け、この年から割と確信めいた八つの東京でのトコロとコトをまとめ始め、2003年に三っつ目の東京八景として発表したのが今回の「桃園川緑道」です(東京八景シリーズは、ある大切な人の死をもって途中で投げ出してしまったのですが・・・)。 桃園川緑道はJR中央線の高円寺駅南側の商店街と住宅地を、東西約1,600平方メートルにわたって連なる長い遊歩道です。もともとこの遊歩道があったところは杉並区天沼三丁目にあった弁天池(現・天沼弁天池公園)を一つの源とする小川でしたが、底が浅く大雨の度に洪水となり、そのため1965年に下水にしてその上につくった公園なんだそうです。 1997年に所帯を持った私は、この桃園川緑道沿いのアパートの一室で生活を始めました。なので思い入れのある場所ではあるのですが、撮影にあたっては当時、中平卓馬の『植物図鑑』(晶文社) に大変影響を受けており、三脚に取り付けた4×5インチのカメラを肩に担ぎ『植物図鑑』の中の一説「けんらんたる白日の下の事物(もの)の存在。事物からあらゆる陰影を拭い去ること。光あれ!」を念仏のように唱えながら歩いたのを思い出します。そうして今回の「桃園川緑道」は、東西に伸びるこの遊歩道の延長線上に日の出すぐと日の入り前に太陽が位置し、その時間の光を背中で感じながらシャッターを切った写真です。それは2003年の真夏のころでした。(敬称略)
牟田義仁
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