2010.11.23 - 12.5 原芳市 Hara yoshiichi
光あるうちに
6×6判 モノクロ 11×14in. 約30枚
はらよしいち・略歴 >>
◎トルストイ著、『光あるうちに光の中を歩め』は、古代キリスト教に生きる2人の若者を通して描く、晩年の彼の思想を色濃く示した小説だ。無知なぼくは、その小説を知らずに、『光あるうちに』とタイトルした写真を撮影しはじめていた。ちょうど15年ほど前のことだった。
◎ある時、何気なく古本屋の書棚を見ていた時、薄っぺらな文庫本のタイトルに、釘付けになった。それが、『光あるうちに光の中を歩め』だった。
◎それは、『光あるうちに』というぼくの問いに対する解答が、トルストイによって、与えられているような衝撃だった。ぼくが、『光あるうちに』といいさした時、トルストイから、『光の中を歩めと』結論付けられてしまったような不思議な感覚を持ったのだった。
◎勝手な思いだったが、トルストイのその小説とは無関係に、そのタイトルだけが、ぼくの脳裏を渦巻いていたのだった。何を見ても、何をやっていても、常にそのタイトルが、リフレインしていたのだった。そして、何気なく気になって撮影した光景や人やモノは、そのタイトルに導かれて撮影したのだ、と撮影し終えてから思ったりするのだった。
原芳市 |