2013.11.29 - 12.8
石垣裕 Ishigaki hiroshi

写真と街路

6×7判+35mm モノクロ 
11×14in. 30枚、16×20in. 16枚
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普段撮影に使っている中判カメラが壊れてしまい、修理に時間がかかると言われ、学生の頃に使っていたものと同じ35mmの一眼レフカメラを中古で見つけ手に入れた。

学生時代、人々で溢れる大規模な祭りが行われているなかへ、1クラス20人程で撮影に出向いたことがある。もちろん現場では個々に別れ、それぞれがカメラを手に街中で人混みに揉まれながら、その場から何らかのイメージを奪取すべく、考える間もなくひたすら歩き、何度もフィルムを交換しながらシャッターを切る。

今でもこうした授業が行われているのか知らないが、これは15年程前の話で、今や機材はデジタルカメラが一般的で、マナーやプライバシー、肖像権等倫理面から、他人にレンズを向けることに対して自制を促がされ、撮影者自身それに従うかのようだ。

しかし、人間にカメラを向けなければ、写真の中から人間が消えてしまう。写真は自分の外側にあるものを写しとる。それは自分と共に自分ではない者が存在していることを認識するきっかけでもある。

私は他者に対してカメラを構える者だ。
あらゆる事物が取り巻く世界、目の前の現実にカメラを向けて、写真として切りとる。

このことにまつわるカメラの力を意識すること、そして写真そのものについて考え続けることは、路上でカメラを持つ権利と引き換えに、常に私自身に課せられているだろう。


石垣裕

 

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