2013.5.7 - 5.19
安掛正仁 Agake masahito
ダイダラボウ 〜はるのよひ〜
35mm digital モノクロインクジェットプリント
A3ノビ 22枚
あがけまさひと・略歴 >>
しんしんと降る雨音で目が覚めた。
ウスウスと重い瞼を開けると
まだ真っ暗闇の中だった。
「ナンダカオカシイゾ」
「モウアサデハナイノカ」
太陽はおいらの躯体で影法師をつくっているのに
「コノクラサハナンダロウ」
むっくりと起き上がり、「ハテ。」とくびをかしげる。
まわりには黒い人間どもがたくさんで、おいらを傘でとりかこんでいやがった。
とたん「ハッ」と気がついた。
ヤツら、おいらがダイダラボウだと気がついて、閉じ込めようとしているんだ。
「おいらはモットミタイシ、ソトヲシリタインダ!」
ちょいとちからをいれると、おもしろいほど簡単に黒い傘の花ふぶきが舞った。
太陽はふたたびおいらを照らしてくれた。
耳もとでなにかがささやいた。
「さあ、いきやしょう。。」
安掛正仁
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