2012.2.24 - 3.4
宮本幸ノ介 Miyamoto kounosuke
無窮の日々
digital モノクロインクジェットプリント
A3ノビ 25枚
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「兎にも角にも写真を撮りたい」歌舞伎町に行けば何か撮れるかもしれないと思い、ニコンのマニュアル一眼レフカメラに超広角18mmレンズを装着して夜の歌舞伎町へと出かけた。
街へ着いた矢先にヤクザの集団が30人位で路上を練り歩いている場面に遭遇する。おもむろにカメラを構えストロボ炊き撮影をした。コマ劇前広場にてなにやらその一団は集合写真を撮るのに並んでいる。集団ににじり寄りシャッターを切る。なにせ超広角18mmレンズなのでよってもよっても被写体が小さい。
その時戦争写真家ロバートキャパの名台詞「写真がつまらないのは、被写体への寄りがたりないからだ」という言葉が脳裏に浮かびさらなる前進をこころみる。
何枚かいけたという確信のもとに、少し一団から離れ様子を伺う。どうやら雑誌の取材撮影をしているようだ。3人カメラマンがいる。一団は歌舞伎町一番街通りに移動する。もはやだれもその半径10m以内に近づくやつはいなく、一団は大手を振って路上を闊歩する。
そして一団は道幅いっぱいに広がりまたも撮影が始まる。ねずみ一匹通ることができない異様な緊張感にその場が包まれる。すると、ヤクザの集団の中から「カメラマンが一人増えてないか」という声が聞こえる。「オレのことだ〜」と思い背筋が凍りつく。隣にいた雑誌カメラマンが「お前だれだ、写真撮ったら殺されるぞ」と、さらに背筋が凍りつく。そして一人夜空を眺め深呼吸をする。「この場は勇気ある撤退をしよう」と決断。 その場を逃げるようにして離れたが、興奮が収まらない。
ここにくれば何か写真が撮れるという期待が膨らんでいく。そして歌舞伎町の撮影にのめり込むようになる。あしかけはや4年が経過した。
宮本幸ノ介
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