2018.11.27 - 12.9
安掛正仁 Agake masahito
朧眼風土記 -さなぎごもりの国-
35mm digital
モノクロインクジェットプリント A3ノビ 18枚
あがけまさひと・略歴 >>
朧眼風土記 さなぎごもりの国
道をあるいていた。
きがつけば人影はなくなり、あたりは木々にかこまれ、
みちの幅は一尺くらいの土のみちになっている。
まわりの景色といえば、木々ばかり。
落ち葉にかくれた道らしきものをあるいていると
なんだか、なにものかの手の内に包まれた感覚にとらわれる。
なにかに包まれているように、小さな集落があった。
家々からは物音ひとつ聞こえず、
しかし、中からは、なにものかの気配が濃く感じられた。
なにかに似ている。
そう感じながら、集落をあとにした。
この先にも、道なのかも判断しづらい線が続く。
ずっと、なにかに包み込まれている。
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あくるあさ、子どもを保育園におくっていった。
教室の棚のうえ、透明な箱のなかに立てかけた枝に、
一匹のさなぎ。
「さなぎごもり」
そんなことばが口をつく。
この前、感じたもの、
それは目の前にいる一匹のさなぎの姿であった。
をはり
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