2019.1.29 - 2.10
島根径 Shimane kei
20180831-0901_Taipei
35mm モノクロ 11×14in. 28枚
しまねけい・略歴 >>
2018年の8/31日から1泊2日の弾丸スケジュールで、台北に撮影旅行に出かけた。去年、一昨年辺りから撮り始めたこの海外撮影は、上海、バンコクに続き、この台北で3度目になる。
思えば、はじめて写真を撮り始めた10年程前は写真もなにもわからず、抱えきれないものや、うまく行かない仕事へのストレス。そうした何かから逃げて、街の中でライフルを撃ち放つようにただただ、シャッターを切りまくっていたようにおもう。自分としてはそれだけで楽になれたし良かったが、そこには写真も何もなく、ただただ感情、情感だけが写り込んでいたようにおもう。
そんな、写真になりきれない何かの中から写真の欠片を拾い集めてもらい、どうにか初めての展示に繋げてもらい、そこから自分がシャッターを切った事で生まれてきた自分の写真と向き合い、写真を視る事を教わってきた。おかげでつまらない固定概念で塗り固められた世界から解き放たれ、どこまでも深い写真の深みへとどっぷり浸かっていき今日に至る。
自分の中では、今はある種、物も、人も、情報も、生き方も多様化し、色々な事柄が溢れている現代の世の中において、変わらずに撮り続ける中で何か見えてくるものがある気がして、モノクロームで新宿、渋谷、原宿を中心に写真を撮り続けてきた。そして、撮って行く中で街や被写体に対しての思いも大分変わってきたようにおもう。
勿論、街で写真を撮るという事は遠慮ばかりしていては撮れないし、時に厳しい事を言われてもそれでも撮らなければならない時がある。ただ今はそうして撮らせて頂いている写真に対して、少し謙虚に構える事が出来てきたようにおもう。色々な事柄が少しずつわかってきて、頭でも考えるようになって、しっかり視るようにもなって。。。
ただ、そうした事が少しずつわかってくれば来るほど、今度はそれがつまらなくも感じてきた。撮る前に光や風や、背景が頭の中にちらつき、歩く方向や、見える画を描くようになり、自分自身の中で何かつまらなさを感じてきて変化を求めるようになってきた。始めは撮り方や機材をかえて方向を変える事を試してみたが、それもしっくり来なかった。
その中で1番今の自分に合っていたのは見ず知らずの土地に行く事だった。なるべく前段階の情報は入れず、最小限の情報に留め、行き当たりばったりで考える事をせず、初期衝動のみで撮る。凝り固まった頭をほぐすリハビリにはこれがとてもしっくり来た。
この先がどのようになって行くかはわからないが、今はこの変わる事と変わらない事の狭間で少しだけ漂ってみようと思っている。
2018、8/31、9/1台北を中心としたストリートスナップショット。
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