2019.2.26 - 3.10
前田昌樹 Maeda masaki
打敷
35mm digital
モノクロインクジェットプリント A3ノビ 20枚
まえだまさき・略歴 >>
打敷「うちしき」とは仏壇の前机(前卓)または上卓の、天板の下にはさむ敷物の事。普段は使用しないが、法要やお彼岸、お盆、正月などの仏事の際に使用します。
この仏具の事を知ってからは、この敷物は此岸と彼岸との狭間にあるのではないかと考え始めました。
「狭間から見る世界はどうなんだろう?」
人は死ぬ前に、自分の人生が走馬灯のように見えるそうです。自分の過ごした時間をかみしめて彼岸の地に旅だつのかもしれません。
自分が見たい景色はなんだろう?
バリバリ働いていた頃?
学生の時、恋をしていた頃?
結婚をして子どもができ、幸せいっぱいの頃?
私には今でもずっと気になる景色があります。幼稚園年中の時、親の転勤で引っ越した郊外の土地。休みの時の砂利ひき。友達とやったザリガニ釣り。晴れた日でも関東のカラっ風で傘をさして小学校まで通学した記憶。今では映画の中でしか見る事の出来ない景色。
私は40数年ぶりに育った町に行く事にしました。そこは、いまでも当時の雰囲気が色濃く残っていました。木々の影にも何かが佇んでいそうです。
私には、この地こそ打敷(狭間)の様な気がして
夢中でシャッターを切りました。
前田昌樹
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