2022.3.1 - 3.13
林朋奈 Hayashi tomona
フラグメントライト
35mm カラー タイプCプリント 11×14in. 20枚
はやしともな・略歴 >>
展示3週間前の2月上旬。
史上最強に写真が撮れてなかった私は焦りに焦っていました。(前回の展示が終わってから4ヶ月強も経つというのに36枚撮りフィルム13本分しか撮っていなかったのです。まじでやばすぎ。)
この4ヶ月間決してサボっていたわけではありません。(ほんまかいな)だって毎日カメラは持ち歩いていたし、カバンの中にはフィルム3本。私はいつだって写真を撮りたかった。ただただ撮れなかった。
このままでは展示出来ない…。
せや!!右腕骨折すればええんやん!ほんだら写真撮れへんでも何も言われへん!あ!入院レベルの病気になれば!はっ!!誰かにお金払ってハヤシっぽい写真撮ってきてもらえば!は!!サード火事になれば!!ってそんな事ばかり考えていました。(撮影行けよ)
がしかし、私は自他共に認めるスーパー元気人間。体調を崩す事もなく、骨折する事もなく…。
私は意を決して撮影に行く事にしました。
まずは入念に歯磨き。(なんでか写真の事をする前は入念に歯磨きをします。)好きな服を着て、iPhoneの充電を100%にして、熱いコーヒーを2杯飲んで、タバコを何本も吸って、重い腰を上げる。撮影行ってエライね。のご褒美は何にしよっかな。
最初は、電車に乗ってどこかへ行こうと思っていました。けれど行きたい場所なんてどこにもない。
なので家の近所をぷらぷらと散歩する事に。
まずはいつも左に曲がる道をなんとなく右へ。パシャ。
ちょっと気になっていたけど侵入した事のなかった墓地へ。パシャ。
ここから下覗いたらこんなふうに見えるんやあ。おもろいなあ。パシャ。パシャ。
あ!目の前に毛皮着てる人発見!え!パジャマに毛皮!うける!すみませーん!写真撮らせてくださーい!パシャシャシャシャ!
すごい自由。開放感。体が勝手に行きたい所へ行く。目に入るのも全てが目新しく、新鮮でトキメキのかたまりに見える。撮影行こうってわざわざ電車に乗らんでもええんやん!帰りにスーパーも行けるし近所めっちゃ最高やん。
ご褒美のウィンナーコーヒーも異常にうまい。クリームの甘さで脳が震える。自由を感じると味覚までハイになるのか…。
こんな気持ちは中学生の頃、初めて意識的にカメラを持った時以来かもしれない。
私は自由だ!!
きっと私は自分が撮った写真で自分を縛っていたのだと思います。「林朋奈」の写真はこうでしょ?って「林朋奈」の写真に当てはまる条件を探して、傲慢に不自由に被写体を探していたんだな。そりゃ苦しいよな。
そしてこれを書いている今。
2月19日土曜日の16時24分。
雨予報だったのに、まだ曇り空。なんなら太陽も出ている。
けれど私は、寝癖でボサボサの頭。金髪がうねってイソギンチャクみたい。チェックのパジャマを着たまま熱いコーヒーとタバコ。いやいや、あの日感じた情熱は?自由は?撮影行けましたやん。
のんきに文章書いてる場合ちゃうやん。っていうかフィルム現像も出していないのによくもまあ、こんなスラスラと私は自由だ!なんて書けますわ…。たいした写真ない可能性の方が高いのに。
ま、展示まであと1週間以上もあるし、月曜日は晴れらしいし、ちょっと遠出して象見に行こっかなー。けど、午前中に起きれるかな…。電車乗るのめんどくさいな…。目の前に象がバーーン!って現れたら楽やのになあ。冷蔵庫にりんご一個あるしちょうどええやん。
…ひとまず今日は熱いコーヒーおかわりで。
林朋奈 |