2022.4.12 - 4.24
牟田義仁
Muta yoshihito
onbeat!6
35mm モノクロ 16×20in. 18枚
むたよしひと・略歴 >>
構成主義の是非
自主ギャラリーの運営に携わっておりますと、年に何度も展示をする機会をいただけまして、普通の写真家さんならなかなか有り得ない有り難い経験をさせて頂いているのではありますが、メンバーの人数が少ない、あるいはビシターさんがなかなかいらっしゃらないとなりますと、展示の回数も自ずと増えるわけでありまして、当然インターバルも短くなるのでございます。
少々、依怙地となっている節も御座いますが、撮って出しを信条としておりまして、展示の始まり、所謂、〆切が迫って参りますとそれはそれはもう集中力高く撮影に精を励ますのでありますが、出来上がったネガを見て愕然とする始末であります。それはもう何といいますか、無難といいますか、慎重にといいますか、リスクを犯さずに置きにいくとでも申しましょうか、ほらもう上手に撮っているわけなのでありますよ。こんなとき、得手して構成主義的に邁進する傾向にどうもあるようなのでございます。
もちろん周知のとおり構成主義は大層ご立派な考え方でありまして、それを否定するつもりは毛頭もないのでございます。フォルマリズムなんてとても痺れる響きではありませんか。まあ素敵。しかし私が撮りたいものと申しますと、モノの気配なのでございます。撮影で街を歩いておりますと、さながら呪文を唱えるがごとく「もののけもののけ」と唸っておるのでございます。
しかし、もののけは、いけず。偶然にそれを見つけてもハラっと身を翻しどこかにお姿を隠すのでございます。なかなか写ってはくれませぬ。それでも〆切は近づいて来ようにございます。それで冒頭申し上げましたとおり、知らず知らずのうちに構成主義的に走っておる始末にございます。これが是か非かと申されれば・・・非、であると。
あっ、長々と申し訳ありません、で、何を申し上げたいかといいますと、今回の展示の言い訳でございまして、ご覧においでましになる御方のハードルが少しでも下がってくださりませんかと願うばかり。すてーとめんつ、などと洒落た文章はどうも苦手でございまして、しかしをもって気の良いオチも用意しておりませんで、この辺で失礼させていただきます。
牟田義仁 |