2023.4.11 - 4.23
浜田泰介 Hamada taisuke
polkadot
35mm digital
カラーインクジェットプリント 20×24in. 20枚
はまだたいすけ・略歴 >>
展示の写真を選ぶため、撮影した写真を並べ、眺めてみる。
一貫したコンセプトも、テーマも、地域性も、そこには見えない。
ただ、写真が並んでいるだけ。
そこに有機的な繋がりがあるとは言えないが、見えない「何か」はある気がする。
僕はそう感じる。
その「何か」が何なのか、僕はまだ言葉にできていない。
2014年5月、雑誌「egg」が休刊した。
白ホリでのスタジオアシスタントを経て、売れっ子写真家のアシスタントに就いたものの折り合いが悪くクビになり、フリーの撮影アシスタントをしていた僕に、当時の編集長N氏は「ウチはギャル雑誌なのに、カメラマンは40代のおっさんばかりだから、ハマチャンみたいに若いカメラマンが居たらいいと思う、だから君をウチで育てる」と言うと、それから休刊までの9年間、飽きることなく毎月欠かさず仕事をくれた。
編集部やその周辺スタッフとは、まるで身内同士のように親しくしながら、仕事の上では厳しくもある、そんなちょうど良い距離感が保たれた場であったが、それも休刊によって失われてしまった。
このことをきっかけに一念発起し、スタジオを作ることにした。
その頃、僕はピンドット柄のシャツがお気に入りだった。
ドット柄はドットのサイズで呼び名が変わる。
小さいドットならピンドット、中くらいのドットはポルカドット、大きいドットならコインドット。
ドット柄は、ドット同士が交わるでもなく、離れるでもなく、ちょうど良い距離感が保たれた模様だ。
その模様を眺めながら、バラバラになってしまった仕事仲間たちのことを想う。
スタジオの名前は「pindot studio(ピンドットスタジオ)」に決めた。
願わくば、このスタジオがあの時のような場になればいい、そんな願いを込めた。
サードディストリクトギャラリーに運営メンバーとして参加してからの約3ヶ月、写真を撮っては捨てる、それを何度も繰り返した。
ここに来るまでの僕は、写真を自分や何かを表すための道具のように考えていたフシがあったが、それが間違いであったことは、この短い期間で少しだけわかった気がする。
これからは自分が語るのではなく、写真が語ることに耳を傾けてみたい。
展示のために写真を並べる。
そこには、大きいでもなく、小さいでもなく、交わることもないが、決して遠くはない、まだ僕が言葉で説明できない「何か」がある。
僕はそう感じる。
その「何か」は言葉では表せないものかもしれないし、そもそも言葉で表す必要はないのかもしれない。
それが何なのかは、いずれ写真が教えてくれるだろう。
この展示のタイトルは「polkadot(ポルカドット)」とした。
浜田泰介 |