2023.5.23 - 6.4
柴田裕哉 Shibata yuya
路に乗りて行きき
APS-C digital カラー
インクジェットプリント A4 22枚
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疲れた!
写真のことを考えることに疲れてしまった!
写真って何なんだろう?
これが僕が写真を撮る原動力だったのに、いつのまにか考える余裕がなくなってしまっていた。
SNSのフォロワー数が増えないことに悩んだり、他の人と自分を比較して、どんどん惨めになっていって、とにかく良い写真を撮ることに必死で写真を撮ることもつまらなくなっていた。
気付けば、仕事から逃げるために写真を撮って、写真から逃げるために仕事をしている感じだった。
これはもう最悪。
逃げるは恥だが役に立つ。なんてものは全くの嘘だ。
逃げた先には何もないではないか。逃げた先にも写真写真。
今日は天気がいいから写真でも撮りに行こうかなーなんて無意識に考えてしまって、もうどこもかしこも写真写真。
世の中たくさん面白い写真があるんだから、僕が頑張る必要もないよなとか。堂々巡り。
とかまぁ、しんどいけど、やっぱり写真が好きなんだよな。写真て何なんだろう?って疑問が頭から離れないんだよな。
詰まるところ写真のことを考えながら写真を撮ることが好きなんだ。
『路に乗りて行きき』・・・「路」の霊威に依りつかれて「路」のままに運ばれていくという受動的表現。昔、道は不思議なものたちとの出会いの場になると考えられていた。
らしい。
日本霊異記という本を読んでいて出て来た言葉だ。
僕が霊威に依りつかれているかどうかわからないけど、写真なんて撮りにいくものじゃない。何かに運ばれて、何かに見つけられてシャッターを押す。
松尾芭蕉の「松島や〜」の句なんか、絶対に直前まで何も考えてなかったでしょきっと!笑
芭蕉さんの旅は予想もできなかった言葉がたくさん出てきて楽しかったんだろうな。
「自分が、とか、他人が、とか、どうでもいいじゃん?とりあえず路に乗ってみな!」
って頭の中の芭蕉さんが言ってる。
歩くの好きだし、乗ってみようかな。
柴田裕哉 |