2024.2.27 - 3.10
浜田泰介 Hamada taisuke
polkadot
35mm digital
カラーインクジェットプリント 20×24in. 20枚
はまだたいすけ・略歴 >>
今回の作品製作の過程で、もっと素直な気持ちで写真を撮らなくてはならないな、そう思い知らされる出来事があった。
DMの打ち合わせの席で、製作途中の写真の中から、この写真は今までとは違うよね、と何枚かの写真がピックアップされた。
それはどれも、シンプルに素直な気持ちでシャッターを押したものだった。
遅まきながら、それが今までの僕に欠けていたことだと気づいた出来事だった。
とはいえ以前より、もっと素直な気持ちで写真を撮ったら?と周囲の方々より助言されていたし、そのようにしてきたつもりだったのだが、それは思い違いであったことがよくわかった。
それから展示までの残された期間、素直な気持ちとは何なのかを改めて考えながら製作を続けた。
素直な気持ちで写真を撮ることを意識したことで、少しだけ見えるものが変わったような気がした。
撮影の時に目を向けるものも変わったし、写真の選び方もまた少し変わったと思う。
意識の向け方や気持ちの持ち方で見えるものが変わることは頭では理解していたが、こういうことなのだな、という実感があった。
素直な気持ち、それは言葉にする前の心の機微のことなのではないかと思う。
言葉にすれば、分かりやすく人と共有することができる。
反面、言葉という形へ整理する過程の中で、こぼれ落ちてしまうものがある。
そのままを言葉で表すことのできないような小さな心の揺れ動き、それを大切にしたいと思った。
こうして書き起こしていると、そんなこともわかってなかったんかい!と突っ込まれそうなことを書いている気がする。
それでも、大切にしたいと思えることを発見すること自体がそうそうあることではないし、こんな時「ああ、写真をやっていて良かったなぁ」なんて思ったりもする。
僕の心の機微なんて、写真には写らない。
けれど、素直な気持ちで写真を撮った時、その被写体には僕の心を揺れ動かす何かがあった。
その何かを言葉にしたいと、僕は思わない。
それはきっと、写真が教えてくれることだから。
浜田泰介 |