2025.10.14 - 10.26
マット・ウォング Matt Wong
タイムマシン ランダム
35mm モノクロ
ゼラチンシルバープリント 11×14in. 23枚
マット・ウォング・略歴 >>
2000年前後の作品はすごく怖いと思ったのに、
最近のホラー映画はあの恐怖感をどうしても感じられない。
スタジオA24のホラー洋画を観たりするけれど、リングや呪怨シリーズ、「ノロイ」等はあまりに恐ろしすぎて、現行作品は面白いと思う時はあるが、それは恐怖感とは何か違う。
ついこの間、話題となっている「近畿地方のある場所について」を観に行ったら、昔のホラー映画の恐怖感を久しぶりに少し味わうことができた。
しかしその後、思い返してみると、怖いと思った場面は全てフェイクlo-fi資料(作品の中で出る90年代の録画したビデオ、アニメ映像、暗くてぶれているスマホ動画等)だと気づいた。
その理由は、「恐怖」の必須条件とは、恐ろしい「何か」が見えるが、時間の通過、画質の限界、闇等によって、見たくても見えない状況があることだと考える。
世界はHD(高解像)のような印象。誰でも高画質の動画をすぐ撮って、全世界と共有し、クラウドに保存できる世界。
場所の雰囲気、面白い出来事などを単純に記録したいだけならば、もはや動画を撮って投稿した方が効率的に伝わるだろう。
いや、写真にしかできないものはきっとそんなようなものではない。
2000年代の怖い映像のように、媒体ゆえの見えないものと見えるもののバランスから生まれたものだと思う。
どんなにテクノロジーが進化しても、見えないものがある限り、怖いホラー映画も、街の写真もまだまだ可能性に溢れているだろう。
マット・ウォング |